201号室の、オオカミくん☆
「そう?」
「でも私は、私と居る時の皇汰の方が――裏表が無くて好き。意地悪だし、優しくないけど」
でも初めて言葉を交わしたあの中学の生徒会の時みたいに、屈託のない笑顔が好き。
大人びたキスを仕掛けるオオカミみたいな皇汰より。
「先生は皇汰は好き?」
「好きよ」
岸六田先生も即答だった。それに加えて先生は皇汰から気持ちを聞いている分、自信はある。
「でも、私には……隣に居れたらいいなって片想いしてる人がいるから」
「へ?」
「片想いかも分からない。皇汰への好きとはまたちょっと違うからねー。困ったわ」
深い溜め息を冗談のように笑って溢すと、見えてきた学校の駐車へ入っていく。