201号室の、オオカミくん☆





『――あいつなんか止めて俺にして?』


岸六田先生に皇汰はあの時そう言った。


そう言ってからキスしていた。

失恋したと言ってたのはきっと岸六田先生に好きな人がいると気づいたから。


今の私と皇汰は同じ立場なんだ。


「それ困るな。皇汰が諦めるぐらいこっぴどく振ってくれたら良いのに」

「……そうね。結愛ちゃんは皇汰に言ったの?」


「言えるわけないじゃないですか」

フラれると分かって何故言わなきゃいけないんだろう。

駐車場に止めた車から先生は降りると、ドアを開けてくれた。

打撲でも痛いのは痛いのでお言葉に甘えて、車から出る。
片方だけ松葉杖を使いながら。


「まずは言って意識して貰わなきゃかなぁ」
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