201号室の、オオカミくん☆
光の彼を確認する前に、皇汰の父親の車がゆっくり近づいて来たので慌てて逃げた。
光の彼を見たかったから残念で悔しい。
仕方なくまた教室に戻ろうと踵を返していたら、今度は校内放送が流れ出した。
『楠木皇汰くん。楠木皇汰くん。至急職員室に来て下さい。お父様が御迎えに――』
「この声は…」
「学年主任だね」
主任もまだ帰ってなかったのは当然といえば当然だけど、つい舌打ちしてしまう。
「あーあ。うちの父親、八股とかするような奴だけど地位だけはあるからなー。学年主任、接触禁止知ってるはずなのに」
「覗きをするような道徳心がない奴なら、接触禁止なんて気にしないかもね」
「…………」
「…………」
ますます、学年主任が怪しく思ってきた。