201号室の、オオカミくん☆
「葉瀬川さんかと思った……」
「あー。この車、勝手に使うからな」
ゆっくりと車を走らせて、先生用の駐車場に停めてある見かけない外車を睨み付けた。
あれが皇汰のお父さんのかな?
「こいつが孔礼寺岳理(くれいじ がくり)。本家の一人息子で9才下の姉ちゃんに手を出した変態」
――本家。
葉瀬川さんや葵が苦しんでる理由の本家?
「あれ? 今、お祭り準備前で忙しいんじゃ」
「っち。みかどが五月蝿いから抜け出して来たんだよ。桐原のばーさんには世話になったしな」
「……ありがとうございます」
「ケーキ美味しかったか?」
「はい。とても」
口も態度も悪いのに、何だか悪い人には見えない。
ミラー越しに見える顔も、無表情だけど冷たくはない。