201号室の、オオカミくん☆
「先生それセクハラ」
残念ながら私の初恋は皇汰だから全然違う。
もし好きなら逃げたりはしない、はず。
「取り合えず、話はそれだけ。教室戻るから」
「皇汰くんにも来るように伝えておいて。あと……葵くんは」
リンダは他の先生たちに気づかれないよう小さな声で、少し寂しげに言う。
「葵くんは桐原さんみたいに自由になりたいだけなんだ。子どもみたいに無垢だから、その喧嘩してるんなら」
「……失礼しまーす」
余り聞きたくなくて、その話は途中で遮った。
足も松葉杖なしでも教室までなら痛くない。
今は作戦だけを実行するのみだ。
――教室には協力者の光がいる。
学校では携帯の持ち込みは禁止だから(誰も守らないけど)校舎の影に隠れて光にメッセージを送信する。
後はわざと外を目立つように一人で歩き回るだけ。