201号室の、オオカミくん☆
「昨日ね、私の好きな人から連絡があったのよ」
職員室から視覚の壁に隠れて岸六田先生が言う。
「日曜の孔礼寺のお祭りに顔を出すみたい。私ともう1回、話がしたいって」
岸六田先生の顔が少しはにかんで、そして寂しげに笑った。
「私も1ヶ月も放置されてたから落ち着いてたのにな……。それに」
先生は談話室の方を見て、ため息を溢した。
「昨日それを聞いた皇汰は、静かだった。もう私に心はないかもしれないわね」
そう思うと寂しいなんて感じてしまう自分はなんて我儘なんだろうって。
先生はそう笑った。
でも皇汰はきっと動揺してたんじゃないかな。
動揺してたから、花忘荘に帰ってくる約束が守れなかったんじゃないかな?