201号室の、オオカミくん☆

「皇汰は凄いよね。バスケ部部長に生徒会長もしてて学年一位でしょ?」

「塾なしだぞ」

いちいち自慢気に言う皇汰を、葵はキラキラした目で見る。


「すげー。俺なんて週7日、塾に英会話に書道に算盤にとにかく休みなんてなかったよ?」

「週7日って」

私なら発狂するレベルだわ。


「だから、今自由なんだけど何していいか分からないんだよ。絵ぐらいしか趣味無いし。あ、携帯を葉瀬川さんが買ってくれるって」

「ちょ、携帯持ってなかったのかよ」

「うん。皇汰の貸してー!」


引っ掻けていたサンダルを脱ぎ捨てて、葵は皇汰の部屋に入っていく。


「あ、こら! 待て」

「皇汰と同じのがいいなー」

「ちょっと古いから止めとけ」


ぐいぐい入ってくる葵は、私と初めて会った時と一緒だった。
< 300 / 428 >

この作品をシェア

pagetop