201号室の、オオカミくん☆
「皇汰は凄いよね。バスケ部部長に生徒会長もしてて学年一位でしょ?」
「塾なしだぞ」
いちいち自慢気に言う皇汰を、葵はキラキラした目で見る。
「すげー。俺なんて週7日、塾に英会話に書道に算盤にとにかく休みなんてなかったよ?」
「週7日って」
私なら発狂するレベルだわ。
「だから、今自由なんだけど何していいか分からないんだよ。絵ぐらいしか趣味無いし。あ、携帯を葉瀬川さんが買ってくれるって」
「ちょ、携帯持ってなかったのかよ」
「うん。皇汰の貸してー!」
引っ掻けていたサンダルを脱ぎ捨てて、葵は皇汰の部屋に入っていく。
「あ、こら! 待て」
「皇汰と同じのがいいなー」
「ちょっと古いから止めとけ」
ぐいぐい入ってくる葵は、私と初めて会った時と一緒だった。