201号室の、オオカミくん☆
「ありがとう。でも私一人で乗り込むから」
「強っ」
やっと皇汰が声をあげて笑う。
それを見た葵が横目で気にしながらも、もう絵を書き始めていた。
青空の下、葵の背中が浮かんでいる。
空に溶け込むように色鮮やかだ。
「……『千秋祭』さ」
食べ終わった皇汰は服に着いた食べかすを払いながら、言う。
「一緒に行こうか」
「え」
「じゃねーや。一緒に行くぞ。決定」
よし、と勝手に決めた皇汰は立ち上がり、葵の方へ歩いていく。
絵に没頭している葵の後ろでフェンスに寄りかかりながら、絵を覗きこんでいる 。
「私の意見は無視、か。馬鹿」
切なくて、嬉しい。
我が儘を言うとしたら、皇汰は聞いてくれるのだろうか。
岸六田先生に会わないで、とか。