201号室の、オオカミくん☆
夕方五時からなのに、孔礼寺の駐車場は満車だった。
特別バスが駅から孔礼寺の山まで上るらしく、二台のバスが行き来している。
「いやあ、早く来てもらってすまないね」
葉瀬川さんが車で迎えに来てくれたので、一時間だけ待ってもらった。
荷造りをしていたのだけど、何故か入居した時より少なくなっていてキャリーケースに収まってしまった。
旅行カバン分の荷物は、私が此処に居たい心がここに同化したのかもしれない。
「私も送ってもらって助かりました」
満車の更に上の駐車場に車は停まった。
ベンツ数台に大型バイク、自転車などが並んでいる。
「あの双子がどうしても君に浴衣を着せたいらしくてね」
「ふふふ。嬉しい」
階段前に差し掛かるとゆっくり葉瀬川さんが振り返る。