201号室の、オオカミくん☆


「皇汰くんにも葵くんにも言わず、出ていこうとしてる?」


ギクッと体が揺れて、肯定してしまった。

逃げられない。



「僅かな日々でも共に笑いあった中なのだから、こっそり居なくなるのは寂しいな、私も」


「……ごめんなさい」


「まぁ、私たちに止められたら決心が揺らいじゃうんだろ?」

しょうがないよねーって葉瀬川さんがまた歩き出そうとするから、着ていたポロシャツを引っ張った。


「違う。おばあちゃんとの約束は破りたくないから。だから皆が止めても決心は変わらない。皆に余計な時間を取らせたくないだけだよ」


リヒトさんとトールさんとか号泣しそうだし。


「人と関わる事に『余計な時間』なんて何一つありはしないよ」
< 322 / 428 >

この作品をシェア

pagetop