201号室の、オオカミくん☆
初めてのキスは、目を閉じた。
目を開けると、葵の優しい笑顔が待っていてくれて。
……幸せだった。
「この正装重いんだ。ずっしり肩に乗っかる感じ」
「早く着替えなきゃだね」
「――嫌だ。このまま結愛を抱き締めたまま誰も居ない場所で二人で過ごしたい」
葵の顔がちょっと真剣だったので、ついつい笑ってしまった。
「何で笑うの?」
「いや、葵らしいなって思ってさ。私は着替えに孔礼寺に戻るけど」
「……じゃあ戻るよ」
渋々立ち上がった葵は、平安貴族みたいな優美さがあり、またケタケタ笑ってしまった。
皇汰とはずっと手を握っていたけど、葵には抱き締められたまま立ち上がり、抱っこされたまま階段を上がる。
恥ずかしくて私は葵の胸元に顔を埋めて、葵には狐のお面を被らせた。