201号室の、オオカミくん☆
「さっきの舞の人ですね! 格好良かったです。
此方は舞の後に拐われたお姫様ですね」
女の底辺近い私より、睫毛も長く目もぱっちり、鼻 も高いし、繊細そうな可愛いお兄さんに『お姫様』とか言われてしまった。
無邪気に葵に握手をねだるお兄さんは、可愛いけど幾つぐらいだろ?
――じゃなくて!
「岸六田先生なら……皇汰と消えたまま帰ってきてないですよ」
そう伝えると、笑顔が固まった。
「あはは……そうですよね。そうです…よね」
明らかに動揺している。
「振った女に優しくすんなよ。ほっとけ」
「あわわ。振ってないです! フッてなんて」
真っ赤になったお兄さんは岳理さんに詰め寄ると、両手を慌ただしく振りだした。