201号室の、オオカミくん☆

とうとう皇汰たちは帰って来なかった。

私じゃなく、岸六田先生を選んだ皇汰。


……上手く行っている事を祈るのみ。


「結愛」


車に乗り込んだ私の窓を、葵が叩く。


「葵……」

月明かりの下、私は葵の唇に目を落とす。

さっき私に触れたのはこの唇なんだ。


「返事は、要らない。『好きだ』って言葉以外」


そのまま、親指で私の唇をゆっくりとなぞった。



「俺が好きだと思った結愛は、最初から皇汰が好きだった。だから、俺は今の結愛が好き。辛くないよ」





私の唇をなぞった親指を、 葵はゆっくりと舐めた。




「皇汰を好きだと頑張ってる姿も愛しくて……ずっと抱き締めたかったから」


間接キスされた唇が熱く火照る。
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