201号室の、オオカミくん☆


「食べないの? おはぎ」

「……要らない」

「宿題は?」

「した」

「書道教室の離れに居ますから。何かあれば来なさいね」

「はーい」


縁側で一人。体操座りしながら手入れされた庭を見つめる。


お婆ちゃんと二人で過ごすには、大きな家。

本丸、と読んでいる建物に台所やキッチン、居間と私とお婆ちゃんの部屋。

二ノ丸と呼ばれる縁側から繋がる建物には、お婆ちゃんのお弟子さんたち。


庭を挟んで向こうの離れには、自転車が何台も停まり、週三で子どもの書道教室。週一で大人の書道教室が行われている。

つまり、常に人が行き来したり声がしたりして、寂しいと思った事はない。


書道を止めてからはちょっとだけ居心地が悪かったけど、今は無心で書道教室を見る事ができる。
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