201号室の、オオカミくん☆
あんなに何でも出来て格好良くて、食べたくなるぐらい可愛いんですもん。きっと皆、憧れで見て、本当の自分を分かって貰えないんじゃないかなって。本当は皇汰は寂しいんじゃないかなって思う」


岸六田先生は、締め切っていた障子を開ける。

庭に射し込む朝日にゆっくり目を閉じて、胸の前でぎゅっと手を握る。



「でも私は、鳴海さんの過去も全て抱き締めたいの。私は小さな頃からずっと鳴海さんを思ってて。皇汰のお姉さんが現れるまで、――恋だなんて自覚してなかったの。この気持ちが『愛』なんだって気づいたのは、鳴海さんが歩き出した最近よ」


「先生」

「ふふ。貴方の話を聞くはずが、私ばっか語っちゃったわね」


「岸六田先生は、皇汰には恋をしているけど、あのお兄さんを『愛』してるって事ですか?」
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