201号室の、オオカミくん☆


岸六田先生は目を見開いた。

すごく繊細な感情で、私には複雑すぎたけど。

けれど。

岸六田先生は二人に誠実で。

嘘なんてついていない。皇汰を分かってあげたいのにお兄さんへの気持ちが邪魔してるんだ。


その二人への気持ちは、――どちらも同じぐらい大切で。

色も形も違っても確かに、そこに存在している。


「それでも私は……追いかけてこない鳴海さんを。――愛やら恋やらに疎いあの人を振り向かせたいって思った」


うぉー……


「!?」

家の外で合戦のような気合いを入れた雄叫びが聞こえて嫌な予感がする。


「結愛ちゃんは? 結愛ちゃんの気持ちは?」

お弟子さんたちがバタバタと廊下を走り回る音がする。
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