201号室の、オオカミくん☆
「ずっと逃げ腰だった結愛ちゃんは? 全部受け止めようって思える?」
どくんっ
早く打つ心臓が、――胸を抉る。
「先生! 大変です! 結愛さんのお客様がっ」
お弟子さんたちが書道教室の方へ慌ただしく走っていく。
花忘荘の皆がきっと。
きっと奇襲のように乗り込んできたんだ。
それなのに心臓が痛くて……動けない。
「――です!」
お弟子さん達が次々に何かを叫んでいる。
口々に何かを。
「結愛さんのお客様が全員、イケメンです!」
「は?」
思わず私と岸六田先生は縁側から外を覗いた。
「イケメンばかりですぅ」
「何かイケメンが喋ってますっ」
「きっと芸能人ですっ」
書道教室の前で騒いでいたお弟子さんたちは、静かに戸を開けて出てきたお婆ちゃんに一括される。
「――静かに。落ち着きなさい!」