201号室の、オオカミくん☆


お婆ちゃんのオーラに蹴落とされ、お弟子さんたちは一斉に縁側に正座で座り込む。

習字をするために結んでいた袖の紐を外すとお弟子さんの一人が慣れた手つきで手を差し出し、受け止める。


「何です。妙齢のお嬢さんでもあるまいし、アイドルが来たぐらいで騒いでみっともない。今はお稽古中ですよ?」

御年60歳以上(私にも年齢非公開)のお婆ちゃんは、年齢不明な綺麗で近寄りがたい雰囲気を出しながら歩き出す。


その後ろをホウキや薙刀を持ったお弟子さん達が続いていく。

書道教室の中には、お婆ちゃんに指導を許されたお弟子さん二人が何事もなかったように指導を続けているから凄い。





「――皆が引き付けた内に今なら決めれるわよ?」

岸六田先生の言葉に、喉がカラカラ乾いていく。
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