201号室の、オオカミくん☆
「閉じ込められてるお姫様を救出に来たよ!」
「お姫様って……あんたねぇ」
後ろに髪を縛った葵は、塀の上でヤンキー座りをすると私を見下ろす。
「俺、結愛の意思は無視して連れて行くよー。嫌なら俺に拐われたいって思って」
「それってどっちも結果は変わらないじゃん」
岸六田先生は立ち上がり、縁側の向こうを見張ってくれ出した。
「だって皆の代表で俺、此処にいるもん。皇汰が結愛のお婆ちゃんを説得して連れてくれてる間に、俺は結愛を拐うよ」
皇汰が……。
自分だって傷ついてそれどころじゃないのに、私が居なくなったのを気づいてくれたんだね。
「俺もだよ。結愛」
心を見透かしたように葵が言う。
「そんなに俺のキス、嫌だった?」