２０１号室の、オオカミくん☆

「お帰りになられて下さい。約束もなく失礼ですよ」


「結愛さんが、俺達に何も言わず帰るはずがありません。無理矢理連れて帰ったんじゃありませんか？」


背筋をピンと伸ばしたお婆ちゃんが、皇汰を見上げている。淡々とした表情で睨み付けるかのように。

皇汰もお婆ちゃんの目を真っ直ぐ見つめていた。
真っ直ぐに、嘘偽りなく真摯にぶつかっていく。


お婆ちゃんの凄みにビビらないなんて、皇汰はどんな修羅場を潜り抜けて来たんだろう。



「お婆ちゃん、皇汰」


葵の腕を掴んだまま、私は二人を見た。


「あのね、私お婆ちゃんと約束したのは『皇汰を更生させたい』だけ。お婆ちゃんからは『勉学を疎かにしない』だったんだ」

私の願いは叶ったけど、約束は破ってしまった。