201号室の、オオカミくん☆
「お婆ちゃんもお弟子さんたちも、書道教室に通う悪ガキ達も大好きだよ。大好きだけど、私にはまだ恋やら愛やら難しくてさ。もうちょい皆と一緒に迷いたい」
皇汰を思う気持ちの名前と。
葵の私への気持ちを。
逃げ出したら楽なんだろうけれど。
もう少し迷いたい。
もう少し、悩みたい。
大人に囲まれるのも楽しいけれど、同年代の皆とはしゃぐのも好き。
「まだ迷いがあるならとことん追求しようかと思うんだよね。もうちょっと行って来てもいい?」
私のへらりとした言葉に、お婆ちゃんは眉を少し動かした。
「それが貴方の願いなのですね?」
「――うん。へへへ」
「分かりました。では約束しなさい」
お婆ちゃんが強い口調で私を見下ろす。