201号室の、オオカミくん☆


皇汰の顔を見てすぐに私はおでこを押さえた。



「お前、何隠してんだよ。デコピンだけで許してやるんだから、さっさと出せ」


「なっ! だって皇汰だってその、岸六田先生追いかけて消えたくせに!」

「あれは衝動だ。お前は計画的犯行だろうが!」


「私だって譲れないものがあるの!」


おでこを押さえながら逃げようともがく私に、皇汰は舌打ちする。



「まぁ保護者の許しが出たしいっか」



皇汰はちらりと岸六田先生を見た後に、私の頭を引き寄せると、大きな体を折り畳むように屈み、おでこにキス、した。



「なっ」

「帰るぞ。部屋に案内しろよ」


「命令すんな! 馬鹿」

私と皇汰のやり取りを見て、岸六田先生はクスリと笑うとお婆ちゃんに挨拶して花忘荘の皆の元に駆けて行った。
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