201号室の、オオカミくん☆
「そうか」
今なら皇汰の傷口から侵入できるって事なのに。
なのに。
私もそれだけじゃ満たされない。
「葵が好き?」
そう聞かれてしまったら。
首を縦にも横にも振れられない。
私の『好き』はどこまでなんだろう。
初恋だからと理由をつけて、逃げて寄り道ばかりして。
私はオオカミに食べられるのが、ちょっぴり。
ううん。怖くなっている。
「『好き』でもさ、同じ形や同じ色じゃなきゃ、その人と結ばれないのって変だよな」
「……皇汰」
「確かに好きだよ。奪いたいよ。幸せにしたいよ。ただ突っ走って来たけどさ」
一番目のクッキーが焼けたのか、班の代表が一人ずつオーブンの方へ向かう。
「今はもう結愛の隣から動きたくない」