201号室の、オオカミくん☆
精一杯背伸びして、皇汰の髪を撫でた。


一人にしたくない。
こんな弱気な皇汰は見たくない。

自信満々な皇汰がやっぱり大好きで、

本音や弱さを吐き出してくれる皇汰は私の好きな皇汰だ。



「そのうち私じゃなきゃ嫌だって思うようになれよ」

「何だよ。お前、いちいち男前だよな」


お返しだと言わんばかりに頭をガシガシ撫でられた。


そのままクッキーを取りに行く皇汰は普段通りだ。


癒せるだろうか。

ぽっかり空いた穴を。


『私を選ばないなら待たない』

孔礼寺お祭りで私は皇汰にそう言った。

それでも皇汰は私じゃなくて岸六田先生を追いかけた。

なのに私は。

結局皇汰が好きなまま。

皇汰が好きなまま、葵に惹かれていっていたんだ。
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