201号室の、オオカミくん☆
爆笑する皇汰を横目にさささっと降りると、資料を渡す。
『いつまで笑ってるのさ!』
『ぷ。ごめんごめん』
悪いとは思ってないその口ぶりで、笑いすぎて滲んできた涙を指で払いながら言う。
『てか、呼んで? 俺代わりに取るし』
『これぐらい、自分で取れるから大丈夫』
ふんっと腕を組みながら見上げる。
『人に頼ってばっかのなよなよした女にはなりたくないの。このぐらい自分でとれないでどーするんだよ』
どーせ『誰か取ってー☆』なんて言ったら、にこにこ笑いながら取ってはくれるけど、完璧に子ども扱いされるじゃん。
同い年なのに!
たかが身長のせいで!
にらみ上げた楠木皇汰は、目を真ん丸にした後に、またふんわりと甘く笑う。
『桐原さん、かっこいいー』
『当たり前じゃん。ちびを舐めんなよ』
『そうやって誰にも媚びない人って俺好きだわ』
爽やかに笑った後、ちょっとだけ目を伏せてそう言った。