201号室の、オオカミくん☆
渡り廊下の向こうから、ヨレヨレになった皇汰が私の方へ歩いてくる。
金髪の髪が太陽に反射してキラキラしている。
「皇汰もパンって珍しいね」
「食堂のプリペイドカード、中身が入ってなくてさ。補充待ち~」
学校の食堂は、1ヶ月一万まで入れられるプリペイドカードで払って食べるんだけど、2ヶ月ぐらいサボってた皇汰のカードにはお金が入ってなかったらしい。
やり。
プリペイドにお金が入るまで、皇汰もパン仲間だ。
「とりあえずパンの所まで手ぇ出して、掴まえられたの買ったけどさ」
メロンパンとクリームパンを両手でぶらぶらしながら皇汰は苦い顔をする。
甘いパンしか取れなかったのがウケる。
「たこ焼きパン、食べてみたいなー」
「もう少し早く走って来なきゃね」
可愛く食べたいと言われたが、フフンと鼻で笑ってやる。
いくら皇汰の頼みでも、たこ焼きパンだけは譲ってやれない。