201号室の、オオカミくん☆
「皇汰は葵に譲って良いって思ってるんだ?」

名前が出るだけで、胸が痛いけれど。
でも。


「御二人さん、さっさと接吻して黙っててくれんかの」

「こら! ドラガンさん!」

「邪魔したら駄目だろ!!」

――ん?

「アパートの前でおっぱじめる方が悪いじゃろ」

「ドラガンさん」

二人のイケメンに頭を叩かれている人物もイケメン。
ざわざわと騒いでいるのは、紛れもなく花忘荘の住人で。



「もう。結愛ちゃん以外静かにしてよ。葉瀬川さんたちの話が聴こえないじゃんか」

リヒトさんとトールさんはプリプリと怒ると、葉瀬川さんの家の窓を覗き始めた。

イケメンのくせに何してんだ?

私も近づいて覗いてみると。

いっぱい並べられた本棚の森の中、葉瀬川さんと――リンダが座って話しているのが見える。
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