201号室の、オオカミくん☆

何を話しているのか、リンダの顔は深刻で。

私たちには気づいていない。

私たちに気づかない程の話し合いって?

「うーん。あとは葵くんの意思じゃない―?」


「あの子にはもう気持ちを確認済みです」

葵――?

「環境が変わるのはあの子には良いことかもしれないけど。
せっかく仲良くなった桐原女史と皇汰くんがねー」

私たち?


「でもギフテット教育は日本で学ぶのは本当に困難で……」


何の話をしているの?

誰の話を……?

私が言葉を失っている間に、皇汰が横で小さく呟く。


「短期じゃなくて、本当に留学すんのかも」


留学……。

それってつまり。

もう葵とは屋上では会えなくなるんだ。

会えなく……。
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