201号室の、オオカミくん☆
「葵、止まってよ!」
自転車で隣をキープしつつ、困った。
自転車を降りてたら葵はその間に逃げてしまうし。
先回りしようにも右や左に曲がられたら、またいたちごっこ。
なかなか止まらない葵は、汗を垂らす程に全力疾走だ。
日が沈みかけた住宅地を通り抜け、寂れた公園を抜けると土手を走り抜ける。
……既に知らない道で心配になる。
「聞いてっ ちゃんと話聞いてってば」
振りきるかのように走る葵の先には歩道橋。
あの階段を上がられたら追い付けない。
仕方ないが。
「イタッ」
「!?」
ガシャンッと自転車ごと倒れて足を押さえた。
「痛いっ足が――……」
親指を押さえながら倒れる私に、突如影が覆う。