201号室の、オオカミくん☆
「大丈夫!?」
私の足を覗き込もうとしてきた葵をそのまま捕獲。
自転車は今の勢いで土手を転がっていく。
首に抱きつくと、葵は倒れ込んだ。
純粋な葵を騙す、我ながら卑怯な作戦だった。
私はお腹の上に馬乗りになって葵を見下ろす。
「嘘だよん」
「結愛」
「ふ」
「ふ?」
「ふぁぁぁぁん」
捕まえてホッとしたのか声を上げて泣いてしまった。
ホッとして安心したからか、離れたくないからか。
鼻水まで流して泣いてしまう。
「どうして泣くの。泣きたいのは俺の方なんだけど」
髪を掻き上げながら葵が嘆息する。
「葵が居なくなるから」
「俺?」
「監禁してやりたい」
ずびっと鼻をすすりながらそう言う。