201号室の、オオカミくん☆
さっき皇汰を選んで傷つけた私なんか。
葵はきっと怒ってるかもしれないけど。
けれど。
「や……」
葵は私をそのまま落とすように起き上がった。
「やった……」
眼孔が開いたような、見開いた目のまま葵は立ち上がり、歩道橋まで全力で駆け上がる。
「やったー!!!!」
車が通る夜の下、葵は叫ぶとまた全力で駆け降りて、今度は土手の下、私が落とした自転車まで駆け降りる。
「やったー!!!」
「あ、葵?」
「俺と、しわくちゃのお婆ちゃんになるまで側に居てくれる?」
「へ?」
「絶対結婚しようね、結愛」
まるで幼稚園児の交わす可愛い約束みたいなプロポーズ。