201号室の、オオカミくん☆
「屋上って、出るらしいよ」
今日は可愛い熊のキャラ弁の光が、綺麗な箸使いでカチカチ鳴らしながらそう言う。
「出るってこれ?」
手をダランと下げて白目にしてふざけてみたけど、光の目は笑わない。
ふてぶてしい顔で、神妙に頷く。
「笑い声が聞こえたり、鈴の音が聴こえたり。気味が悪いから先生たちでさえ放課後は三階には近づかないって」
「……光、色んな情報知ってるよね」
鈴の音とかガチじゃんか。
「じゃあ、『こわーい』って皇汰に抱きつけるんだ」
「中学時代の臨海学校で肝試しの幽霊役を蹴り倒したのを忘れてくれてたらね」
…………。同じクラスだから覚えてると思う。
「じゃあ放課後に作戦立てなきゃね」
「ああ、あたしパス。放課後はデート」
「!?」
Vサインさながら光がパックのジュースを飲み干す。
畜生。羨ましい。