201号室の、オオカミくん☆
「皇汰くんの知り合いが来週からこの学校に実習で来るらしいんだ」
困ったよ、と先生は愚痴を溢す。
「なんで困るの?」
「実習先を自分のクラスにしろって。色々と切り札があるから怖いよ、彼」
小動物のように震えるリンダ先生は可愛いけど、あいつそんなズルを。
「公私混同は許せないね。解決できないなら私が注意しますよ」
「君が入ると乱闘になるでしょ。止めなさい」
ヤレヤレと先生は笑うと、器用にお尻で美術室のドアを開けた。
「初めて入ったー」
絵の具を適当に机に置くと、見渡す。
ヴィーナスの彫刻やら人の手の彫刻やら、あとよく分からない抽象画が壁に並べられている。
「桐原は選択は美術じゃなく音楽だったもんな」
「うん。カラオケ好きだから」
「……幸せそうでなにより」
馬鹿にされたような気がするけど、気にせずに彫刻を触っていたら、先生が悲鳴を上げた。