201号室の、オオカミくん☆
「お、そんなところに居たのか」
倉庫を皇汰が覗き込むと、くしゃくしゃな顔で笑う。
――棚から降りている所を見て。
いっつもこんなパターンだな。
「空気が悪くて窓開けてただけだからっ」
「聞いてないって」
そう言いながらも、笑うのを堪えている。
「で、屋上への道、探すの?」
気づけばすっかり日は暮れていた。
下手したらそろそろ校舎は閉まる時間だ。
「んーん。思ったより校長がしつこくて時間かかったし。明日で良いかな」
「いいよ」
適当に笑って誤魔化し、すぐに美術室から追い出した。
名前も知らない人のお願いを聞くために、好きな人の探している屋上への道を秘密にするとは。
乙女心は複雑だった。