201号室の、オオカミくん☆
正直に答えたら、皇汰の唇が尖る。
「やっぱ茶色にしたい」
「校長先生との約束は黒なんだろ? 駄目だろ」
ゴム手袋を剥がしてゴミ箱に捨てるとトールさんは私に笑いかける。
「髪、お団子にしても良い?」
なんと! 不器用な私が肩まで髪を伸ばしているのは、少しでも身長が高く見えるようなお団子結びがしたいからなのに。
口にピンを咥えたトールさんが、編み込みしてくれながら結んでいく。
「ちぇっ。ま、いっか。午後から行こう」
鏡を覗きながら、皇汰は未だに納得してないのか不満気だ。
「あれ? 今日は校長とも話し合って勝ち取った実習生が来るんでしょ?」
先日の一方的な話し合いで、『黒髪に戻し、一位をキープする』のを条件に、美術の先生であるリンダ先生が、英語科の実習生の指導役になったのに。