201号室の、オオカミくん☆
駅まで一緒に登校したけれど、皇汰は本当に学校に着くちょっと前の道で別れた。


学校にはまだ行かないと決めたからには梃子でも自分の考えを曲げないらしい。


仕方なく自転車に股がり、一人で寂しく学校を目指した。


家からなら光とか知ってる子と、馬鹿しながら歩いていけるのに。


皇汰を選んだ私には、皇汰が居ないと寂しい通学路だった。


自転車を停めていると、キラキラしたものが視界に写り顔を見上げた。


――それは教室の窓から反射された下敷きの光だった。


「紛らわしいっての」


気になるのは、あの猫みたいな君だ。


私たちが美術室から帰った後、ちゃんと帰ったのかな。


名前は?

学年は?

どうして私の名前を?

鈴を持つ、不思議なアーモンドアイの男。

空に溶けそうなフワフワした人。
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