201号室の、オオカミくん☆
授業中、岸六田先生は後ろに立って、バインダーに挟んだプリントを記入したり、ノートに何かメモったりしていた。
けど、皇汰は一度も後ろを振り向かず、本当に二人は知り合いなのかと首を傾げるほどに。
英語の授業は、しぃんと静まりかえり、私だけがそのピリピリした空気を感じながら、うとうとと夢の中へ片足を突っ込んでいた。
「さて、10分時間が余ったね。岸六田先生、帰国したまばかりでしょ? ネイティブな英語のスピーチしてみない?」
のんびりしたおばあちゃん先生が、後ろの岸六田先生に話しかけた。
「ええー。恥ずかしいですね」
そう言いながらも満更でもない岸六田先生はウキウキした声で前に歩いてくる。
その時、一番後ろの皇汰が突然、静寂を切り裂いた。
「Let me ask you one question. 」