201号室の、オオカミくん☆
「家具は何でもいいの。それこそ布団さえあればね」
ちらりと後ろを振り返る。
窓際の一番後ろの席。
今日も鞄はない事から来た形跡はない。
ロッカーも時々こっそり見ているが、教科書を持ち帰った形跡がない。全ての教科書があの中にはある。
4月の入学式の学年代表挨拶では、まだ普通だった。
180センチ近くなった身長はちょっと悔しかったけど、好青年な皇汰だった。
夏休み開けてからだ。
突然金髪にしてピアスもつけて変わってしまったのは。
「うちの学校はさ、ばっりばりの進学校に見えて、初等部から半分は持ち上がりじゃん? だから金か成績が良ければ学校は五月蝿く言わないじゃん」
紙パックのお茶を飲みながら、光も皇汰の席を見る。
「でも学園の王子さまがいきなりあんな風に変わったら……」
「後をつけて同じマンションに住みたくなるよね」
「それはならない」
きっぱりと光は否定した。
酷い。