201号室の、オオカミくん☆
気のせいでなければ後ろから足音がする。
気のせいでなければ、カランコロン響く下駄の音が。
『二つの足音や下駄の音に、革靴の足音が?』
不意に光の言葉が思い出された。
カラン…… コロン……
今度こそガチじゃないだろうか。
足音は、心なしか私の歩調と同じな気がする。
嫌だな。自意識過剰かもしれない。
やっぱり自転車で駆け抜けよう。
車だって少ない通りだし。
そう思い、自転車に跨がろうとした時だった。
み゛ゃあ゛――
「?」
猫の鳴き声と言うには余りに低重音すぎる。
猫みたいな奴の鳴き声の方が猫らしい声だ。
み゛ゃお゛ー
猫の声は一段と夜に響く。
仕方なくキョロキョロ見渡せば、自転車のすぐ横の低い塀に猫がいた。
白と黒のぶち模様の、ピンクの首輪が可愛い……目付きの悪い猫。
首輪にサボテンの迷い札がついている。