201号室の、オオカミくん☆
「あんた飼い猫でしょ? 何してんの?」
私の言葉に、猫はツンッと顔を背けた。
――可愛くない。
威圧的だし睨むし愛想悪いしでぶ猫だし。
なのに、デブな前足をちょこんと出して自転車の後ろに乗せていた鞄を叩く。
「ああ。お菓子が欲しいの? あげるからちょっと付き合ってよ」
一人よりはマシかと、自転車の籠にデブ猫を乗せて、クッキーの袋を開ける。
「うちの高校のクッキーは保存剤やら着色剤は使ってないからねー。ほらほら」
無視されながらも懸命に話しかけて歩くと、次第に楽しくなってきた。
なのに。
カランコロン… カランコロン…
どんどん後ろから追い付いてくる。
カランコロンカランコロン
響く音が背中に反響するぐらい近づいてくる。
「前の女史。止まりなさい」
へ?
「止まらないならその籠の中身を寄越すんじゃ」
あ、
「ぎゃああああ!」