201号室の、オオカミくん☆
「ぬ? 学校の授業でスピーチかなんかしたのか?」
「……ちょっとな」
「岸六田先生にわざと難しい質問してたよ」
「結愛!」
ちょっとだけ慌てる皇汰に、素が見えた気がした。
「なんじゃ。花魁はもう帰国しとるのに向こうにも此処にも顔出さんのか」
「……俺がいるから暫くは花忘荘には来ないと思うよ」
自虐的にそう笑う皇汰の頬を汗が伝う。
さっき、猫みたいな君と居た時はあんなに悲しくて、絶望して、寂しさが胸を締め付けたのに。
今は、汗だくで私を探していたんだと思うだけで胸が痛む。
嬉しくて、痛い。
「そうか。儂も英会話の方が忙しいから会えないのは寂しいのう」
フムフムと顎を擦りながら夜空を見上げた。