201号室の、オオカミくん☆
「あの、さっきは叫んですみません。私、101号室に引っ越してきた桐原結愛です」
いつまでも私をお姫様だっこしたままでいるので、ドラガンさんが飛んでいった自転車を拾ってアパートまで押してくれた。
「うむ。花魁の部屋をそのまんま借りてるのじゃろ? 今は孔礼寺の祭りで留守がちじゃが、一段落ついたら、皆で親睦会でもしよう」
「飲みたいだけだろ」
ヤレヤレと皇汰は面倒臭そうに答えている。
「孔礼寺のお祭り?」
「そうそう。山の上のでかい寺」
「あそこのお祭りならよくばあちゃんと行ってたよ」
ここからはちょっと遠いから車じゃなきゃ行かないけど、長い階段を登った上の本堂は大きくて広くて、あそこに出店が並んだり提灯が夜空に浮かぶのはとても綺麗。
「そうか。結愛のおばあさんは、書道の先生だったな」