201号室の、オオカミくん☆



「赤ずきんみたいな籠じゃな。かたじけない」


「いえいえ。よろしくお願いします」


手を振りながらついでに皇汰にも手を振ってドアを閉めたけど、足がすかさず侵入してきた。



「……閉めれないんだけど」




「今日、見てたよな?」


ドアの隙間から覗く片目が無表情で怖い。


「覚えてないなー……」


「結愛の雄叫びが聞こえたよ」

逃げられないか。

猫みたいな奴も雄叫びが聞こえたって言ってたもんね。



「お、お邪魔しました」


「いや、助かった。本当に助かった」


皇汰の目は笑っていなかった。


「あのまま結愛が止めてくれなかったら、取り返しがつかなかった……」


しょんぼりと項垂れる皇汰はちょっと可愛いけど、見ていて私は辛い。


――応援なんてしてやれない。



「若気の暴走なんてよくある。よくある」

「うん。びっくりさせて悪い」


びっくりしたんじゃない。


ショックだったんだよ。
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