201号室の、オオカミくん☆
なんて伝えたらきっと皇汰は困った顔をするから、言わない。
「――お前、居なくなるなよ」
「何で?」
「今、お前が居なくなるの、キツい」
「じゃあ頑張って探すんだな。私、寄り道ばっかするから」
「――何それ」
力なく笑う皇汰を蹴り倒したくなる。
馬鹿野郎って怒鳴り散らしたくなる。
岸六田先生への恋が辛い皇汰は、
私との時間で紛らそうとしていて。
それが私には酷く辛い。
お互い、辛い恋を追いかけてる。
屋上から見る寂しくて静かな夜の空みたいな、
どんどん夜に溶けていくような、恋。