201号室の、オオカミくん☆
「いや、桐原聡子……儂も日本に精通している身。聞いた事があるかも知れぬ」
「じゃ良かった。もう人の名前、馬鹿にしないでね」
「はは。すまぬ。怒らせたか」
悪気は無かったのか、本当にドラガンさんは屈託のない笑顔を向けると、下駄の音を響かせて出ていった。
これでまた花忘荘では皇汰と二人っきり。
皇汰は明日、どんな顔で岸六田先生と会うつもりなんだろう。
私は、あの二人の前で知らない顔してなきゃいけないのかな。
それはちょっとだけ面倒臭くて億劫だった。
私はテレビのボリュームを上げると、布団の中に潜った。