201号室の、オオカミくん☆
その猫はブサイクだけど、神の使いのごとくナイスタイミングで現れてくれた。
「……なんか昨日のデブ猫がいる」
自転車の籠にふてぶてしく座っている。
「ああ、若社長だよ。お前、昨日どこ行ってたんだよ」
皇汰が抱き上げると、だらしなくたるんだお腹が伸びる。
「若社長……?」
「この地域のボスなんだ。日本とニューヨークのハーフなんだぜ」
「ふぅん。で、退きなさいよ」
「ダメだ。籠に乗っていたいらしい」
こいつ学校まで着いてくる気か!?
……本当に神の化身だ。
皇汰と何を話していいか分からず困っていたから、このタイミングは本当に助かる。
「あれ? ヤバいかも」
「ん?」
「自転車のブレーキ、壊れてる……」
昨日、急ブレーキかけて落ちた時、壁にぶつけたからだ。