倦怠期です!
誘うのは、必ず有澤さんだった。
有澤さんのほうが残業や接待で忙しいから、私は向こうの都合にあわせる感じだ。
とはいえ、習い事もしていない、仲良くしている友だちもあまりいない私には、アフターシックスの予定なんて、元々ないことが多いんだけど。
私がまだ未成年だから、同期会をした会社の近くのファミレスへ行く、というのが定番コース。
有澤さんが見つけた「おいしいラーメン屋」や、仕事先で教えてもらった「評判の餃子屋さん」に連れて行ってもらったこともある。
そして帰りはいつも、有澤さんが車で家まで送ってくれた。
だから有澤さんはお酒を飲まないんだと思った私は、わざわざ送らなくていいと、ほぼ毎回有澤さんに言っていた。
「あぁ?俺が送りたいから送ってんだよ。大体俺、普段そんなに酒飲まないし」
「・・・ふーん。でもさ、せっかく有澤さんちの近くで食べてるのに、やっぱりわざわざ送ってもらうの申し訳ない・・・」
「誘ってんのは俺の方だぞ。ったく。おまえさ、ヘンなとこで気使い過ぎ」と有澤さんは言うと、私の頬を軽くペチペチと叩いた。
「ちょっとぉ!」
「前より弾力なくなった」
「はあ?」
「すず。最近痩せただろ。ちゃんと食べてんのか?」
「・・・・・・食べてる」
「食べないダイエットするなよ」
「してない」
そんなダイエットはしてないんだけど、喧嘩の絶えない両親がいる家にいると、食べる気がしない。
有澤さんにはもちろん、会社の人にも誰にも、両親の不仲のことは言ってないから・・・。
でもまぁ、元々見えるところはムッチリ肉がついてる私の体だから、少々痩せて、標準体重になるんじゃないかと思うんだけど。どうだろ。
「そっか。ま、生きてりゃ色々あるからさ。気にすんな」
「・・・うん。そうだね」
もしかしたら有澤さんは、落ち込み気味な私を励まそうと思って、それで時々誘ってくれるのかな。
だとしたら・・・優しい人だ。
そのときの私は、その有澤さんの優しさは、同期で、それでいて妹みたいに思っている優しさだとばかり思っていた。
有澤さんのほうが残業や接待で忙しいから、私は向こうの都合にあわせる感じだ。
とはいえ、習い事もしていない、仲良くしている友だちもあまりいない私には、アフターシックスの予定なんて、元々ないことが多いんだけど。
私がまだ未成年だから、同期会をした会社の近くのファミレスへ行く、というのが定番コース。
有澤さんが見つけた「おいしいラーメン屋」や、仕事先で教えてもらった「評判の餃子屋さん」に連れて行ってもらったこともある。
そして帰りはいつも、有澤さんが車で家まで送ってくれた。
だから有澤さんはお酒を飲まないんだと思った私は、わざわざ送らなくていいと、ほぼ毎回有澤さんに言っていた。
「あぁ?俺が送りたいから送ってんだよ。大体俺、普段そんなに酒飲まないし」
「・・・ふーん。でもさ、せっかく有澤さんちの近くで食べてるのに、やっぱりわざわざ送ってもらうの申し訳ない・・・」
「誘ってんのは俺の方だぞ。ったく。おまえさ、ヘンなとこで気使い過ぎ」と有澤さんは言うと、私の頬を軽くペチペチと叩いた。
「ちょっとぉ!」
「前より弾力なくなった」
「はあ?」
「すず。最近痩せただろ。ちゃんと食べてんのか?」
「・・・・・・食べてる」
「食べないダイエットするなよ」
「してない」
そんなダイエットはしてないんだけど、喧嘩の絶えない両親がいる家にいると、食べる気がしない。
有澤さんにはもちろん、会社の人にも誰にも、両親の不仲のことは言ってないから・・・。
でもまぁ、元々見えるところはムッチリ肉がついてる私の体だから、少々痩せて、標準体重になるんじゃないかと思うんだけど。どうだろ。
「そっか。ま、生きてりゃ色々あるからさ。気にすんな」
「・・・うん。そうだね」
もしかしたら有澤さんは、落ち込み気味な私を励まそうと思って、それで時々誘ってくれるのかな。
だとしたら・・・優しい人だ。
そのときの私は、その有澤さんの優しさは、同期で、それでいて妹みたいに思っている優しさだとばかり思っていた。