倦怠期です!
その年の8月半ばのお盆時期、やっと両親が離婚した。
「お金がないからマンションで暮らす」と言い張るお父さんと、これ以上言い争いをしたくないお母さん、そしてこれ以上関わりたくないお姉ちゃんと私は、3人で暮らせるアパートを急いで探して、9月初めに引っ越した。
引っ越し前に住んでいたマンションからタハラ商事まで、私は自転車で通勤していた。
というのも、マンションから最寄り駅まで、緩やかだけど長い坂を一つ上って下りないといけなかった上に、意外と距離があったからだ。
結局、マンションから会社まで自転車で行くのと、電車を使うのと、あまり時間が変わらないことが分かった。
まぁその分、自転車だったら漕がなきゃいけないんだけど、それでも片道20分くらいだから、いい運動にはなったと思う。
ある日の帰り道、大学生くらいの男の人が、私の後ろを一定距離を保ってジョギングしていた。
長い一本道から、その人は右に曲がったけど、そのとき私、「ありがとうございましたぁ!」って叫ばれた。
ということを、翌日、隣の因幡さんと、因幡さんと同期で、真後ろに座っていた施設1課の小沢さんに話したら、二人から大ウケされた。
だけど有澤さんからは、「だからチャリ通勤は止めろって言ってるだろ!」と、小言を食らってしまった。
あの時は、「なんで」「危ない」「そんなことない」で終わっていたんだけど。
引っ越したアパートからだと、自転車通勤は遠すぎるので、電車通勤をするしかない。
定期代が私のお小遣いになってたんだけどなぁ・・・残念。
「すず」
「はい?」
有澤さんは、仕事のことで私と話す時は「鈴木さん」、仕事じゃない話のときは「すず」と呼ぶ。
ちなみに他の営業の人たちは、普段から私のことを、「すず」とか「すずちゃん」と呼んでいる。
「外、雨降ってきたぞ。家まで送ろうか」
「あ・・ホントだ。でも大丈夫。電車だから」
「珍らしいな。予定でもあるのか?」
「うん。ってあ、そっか。有澤さん、知らないんだよね。私、先月から電車通勤してるんだ」
「え?なんで。チャリ壊れたのか?」
「ううん。引っ越した」
と言う私を、有澤さんは5秒くらいじーっと見た。
なんか・・・視線で責められてる、みたいな・・・。
ちょっと痛気味、なんですけど。
「お金がないからマンションで暮らす」と言い張るお父さんと、これ以上言い争いをしたくないお母さん、そしてこれ以上関わりたくないお姉ちゃんと私は、3人で暮らせるアパートを急いで探して、9月初めに引っ越した。
引っ越し前に住んでいたマンションからタハラ商事まで、私は自転車で通勤していた。
というのも、マンションから最寄り駅まで、緩やかだけど長い坂を一つ上って下りないといけなかった上に、意外と距離があったからだ。
結局、マンションから会社まで自転車で行くのと、電車を使うのと、あまり時間が変わらないことが分かった。
まぁその分、自転車だったら漕がなきゃいけないんだけど、それでも片道20分くらいだから、いい運動にはなったと思う。
ある日の帰り道、大学生くらいの男の人が、私の後ろを一定距離を保ってジョギングしていた。
長い一本道から、その人は右に曲がったけど、そのとき私、「ありがとうございましたぁ!」って叫ばれた。
ということを、翌日、隣の因幡さんと、因幡さんと同期で、真後ろに座っていた施設1課の小沢さんに話したら、二人から大ウケされた。
だけど有澤さんからは、「だからチャリ通勤は止めろって言ってるだろ!」と、小言を食らってしまった。
あの時は、「なんで」「危ない」「そんなことない」で終わっていたんだけど。
引っ越したアパートからだと、自転車通勤は遠すぎるので、電車通勤をするしかない。
定期代が私のお小遣いになってたんだけどなぁ・・・残念。
「すず」
「はい?」
有澤さんは、仕事のことで私と話す時は「鈴木さん」、仕事じゃない話のときは「すず」と呼ぶ。
ちなみに他の営業の人たちは、普段から私のことを、「すず」とか「すずちゃん」と呼んでいる。
「外、雨降ってきたぞ。家まで送ろうか」
「あ・・ホントだ。でも大丈夫。電車だから」
「珍らしいな。予定でもあるのか?」
「うん。ってあ、そっか。有澤さん、知らないんだよね。私、先月から電車通勤してるんだ」
「え?なんで。チャリ壊れたのか?」
「ううん。引っ越した」
と言う私を、有澤さんは5秒くらいじーっと見た。
なんか・・・視線で責められてる、みたいな・・・。
ちょっと痛気味、なんですけど。