full of love~わが君の声、君の影~
と
彼女の目が口が何か言いたげに動く。
俺はそんな彼女の顔に自分の顔を近づける。
と
彼女は俺の顔をその両手で包み
俺の目をまっすぐに見つめ言った。
「はるき・・」
こういうのを何かタガが外れるとでもいうのだろうか
俺は名を呼ばれた瞬間
ぼろぼろっと
涙をこぼした。
それはぼろぼろぼろぼろと止めどなく流れ
彼女の頬にも落ちる。
「う」
あああああああああああ
俺は声にならない声を上げ
泣いた。
彼女の頬に顔をうずめ
震える腕と身体で
彼女をキツクキツク抱きしめ泣いた。
自分でも自分が何故泣いているのかわからない。
でも
身体中を満たしていく何かが俺の中から涙を押し流す。
そんな子どものように泣く俺の頭を
彼女はそっと抱えてくれていた。
「大丈夫・・?」
彼女が俺の髪をなでながら静かに言う。
「ごめん・・ホント・・俺・・何泣いてんだろ・・」
どうやら俺は彼女の声を聞くと
感情のコントロールが効かなくなるらしい。
「そのクセ良くないよ」
「え?」
「独りで抱え込むクセ。だからそうやって急にあふれて止まらなくなっちゃう・・」
「ああ・・」
「言ってくれた言葉。まんま返すよ」
「・・そうなのかな?・・」