full of love~わが君の声、君の影~
サクラ
――5年後
「さくら!いいかげんに起きろ!」
俺は階段の下から上に向かって叫ぶ
「ん―――」
のそのそとさくらが階段を下りてくる
「何度起こせば気が済むんだ!いい加減自分で起きろっ!」
「は~い」
毎朝だ。毎朝この調子だ
あの日から5年。
俺は40に当時4歳だったさくらは9歳になった
小学4年生。もうすぐ10歳だ
俺は女の子が生まれた時に咲ちゃんみたいな女の子を想像した
“今日子さんに似てしっかり者の明るい子”
だが成長してみたら暗いわけではないが少なくともしっかり者ではない;
基本ぼーとしていて、ベルトコンベアーに乗せられても気がつかないまま平気で流されていくタイプだ
両親に言わせると俺の子どもの頃にそっくりらしいが;
その発言も行動も突拍子ない
いわゆる天然ちゃんだ
だがこんな天然さくらに俺はどれだけ癒され助けられてきたか
その突拍子もない発言と行動にいつも俺は笑わされる
笑いは長生きの秘訣!なんて言うが
この子がいなければ俺は今生きてはいないだろう
育ててるつもりの俺がこの子に生かされている